すみれ色日記

宝塚について思うままに語ります

感想:雪組『凱旋門』(東京宝塚劇場)

雪組『凱旋門』『Gato Bonito!!」(8/12 11時の回)



『凱旋門』。
初めて観ました。
幕が開いたその時から
その舞台の織り成す世界にぐーっと引き込まれ、
最後まで飽きずに集中して観ることができ、
なかなか感動しました。
(いつも途中で寝てしまう友人も起きていたようです。)



話が暗い…とは思わない。
時代が重い苦しい時代というだけ。
その中で、人々は希望をもって生きようとしていて、
それが見える作品だったと思います。


舞台転換、舞台構成などがとてもよく作られていて、
衣裳、ダンスにもその世界観がよく表されていて
なかなか素敵な舞台でした。



キャストで言うと、
まず、ジョアンの真彩さん。
一人では不安なジョアン。
とても無邪気で、
誰かの愛がないと生きていけないジョアン。
彼女の声はとても素敵だし、
セリフも聞き取りやすく
すーっと耳に入ってきて心情が伝わりやすい。
最後の死ぬ場面では
思わずこちらも泣きそうになりました。
この作品は彼女の存在がとても大事。
それを真彩さんは
とてもかわいく、品もくずさず、素敵に好演していたと思います。


そしてラビックの轟さんとボリスの望海さん。
(この二人を同時に語るしかない。)
轟さんのお芝居自体は
とってもとってもよかったのだけれど、
(この轟さんとトップコンビの好演により
 作品がとてもしまっていいものになったと思う。)


ただ、私にはどうしても
ジョアンとの恋愛が歳の差カップルに見えてしまい、
ラビックが若い女性にひかれる初老の男性に見え、
どこか哀れさを感じてしまいました。


なので、彩風さん演じるアンリが出てきたら
そちらの方がどうしてもお似合いで、
ラビックに同情できなくて
アンリにすればいいのに、と思ってしまって・・・。


そして同行した友だちに言われて
そうか、と思ったのだけれど、
「たられば」はないんだけれど、
もしこれが望海さんだったら
どうだっただろう、と。


望海さんのラビックと真彩さんのとジョアンだったら
また随分と印象も変わるし
作品も変わってくるんじゃないかしら。


また、轟さんのボリスと望海さんのラビック。
こちらの方が、作品としても
とてもしまって
いいものになるんじゃないかしら・・・。


と、そんなことをついつい考えてしまいました。



アンリを演じた彩風さんは
とても大きな雰囲気があっていいなと思う。
決して、お芝居がうまいとか
歌がとてもうまい、とかは思わないんだけれど、
芝居、ショー共に
おおらかにのびのび演じるところがとてもよく、
そこが彼女の魅力。
彼女の雰囲気はとてもいいな。


あと、永久輝さんはセリフがちょっと
ガナリ系だったのが気になっていたのだけれど、
でもそれが今回、
随分改善されていたように感じたので、よかった!



この作品、3人が中心で
どうしても他の人の比重が少なくなるので
その辺はちょっと残念なのだけれど、
でも、みんな、一つのいい作品をつくろうとして
自分の役に徹して、
引き締まったいい舞台をつくっていたと思います。
また、全体的にセリフも聞き取りやすく、
また、歌もコーラスもとてもきれいで
迫力があって、よかったです。


(唯一気になってしまったのが
 轟さんの歌とセリフ。
 高音になるときや、
 最後の「ウォー」と叫ぶシーン、
 ひやひやしました。)


そんなこんなで、
とてもいい作品を観させてもらいいました。

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